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離職率が高いのは本当に悪いこと?
みなさんが業界や企業選びをする際に気になるのは「離職率」ではないでしょうか。極端に離職率が高い企業は確かに注意が必要です。ですが、業界や仕事の特性によっては「離職率高め」はそれほど珍しくはないこともあります。
リアルな業界の事情をあらかじめ理解しておくと安心です。
たとえば、繁忙期が多い業界や、人の入れ替わりが激しい接客業では、離職率は比較的高くなる傾向にあります。逆に離職率が低くて安定している傾向といわれる業界でも、必ずしもすべての企業が離職者が少ないわけではありません。ですから、実際には「離職率」はあくまでも「傾向」という認識でいるのが良いでしょう。
就活時に心得ておくべきことは離職率の数字をただ見て判断しないこと。“なぜその離職率なのか?” という理由を、自分なりにきちんと考察をして理解してください。
離職率が高くても問題がないケースもあるのです。しかし明らかにブラック企業のサインという場合もあります。
ですから、自分自身でそれを判断できる「モノサシ」を持っておくことが大事です。この記事では、離職率にまつわる正しい見方と考え方をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
業界別・入社3年以内の離職率目安
業界によって離職率の平均は大きく異なります。
💡 離職率が高くても、それは業界全体の傾向かもしれません。「なぜ高いか?」背景を深読みしましょう。
業界別・入社3年以内の離職率目安
- 飲食・宿泊業: 50%以上 → 勤務時間が不規則で労働環境が厳しいことが多い
- 小売・サービス業: 40%前後 → 接客業務のストレスや休日の少なさが影響
- 広告・マスコミ・IT業界: 30〜35%前後 → 締切に追われる仕事や成果主義が原因
- 運輸・物流業: 30〜35% → 長時間労働や夜勤が多い
- 建設業: 2 5〜30% → 現場作業の厳しさが影響
- 医療・福祉業: 30〜35% → 精神的・肉体的負担が大きい
- 教育・学習支援業: 25〜30% → 保護者対応や時間外労働が多い
- 不動産業: 30〜35% → ノルマの厳しさや成果主義が影響
- メーカー(製造業): 20〜25% → 安定しているが、職種によって差がある
- 金融・保険業: 20〜25% → 福利厚生が整っており、比較的安定
- 電気・ガス・水道業: 10〜15% → インフラ業界で非常に安定している
- 農林水産業: 30〜35% → 季節労働や肉体労働の負担
- 公務員・インフラ系: 10〜15% → 安定性が高く、離職率は低め
※ 本記事の離職率データは、厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(最新年度版)および就職四季報を参考に作成しています。
「高い」と判断される一般的な基準
25%以下は低い(安定している)
26~30%は普通
31~40%はやや高い(理由を確認する)
41%以上は高い(職場環境や働き方に問題がないか注意)
離職率が高いからといって必ずしも悪い会社とは限りませんが、ブラック企業と呼ばれるような会社も実際に存在するのは確かです。大切なのは、離職率の高さを見て「どんな理由で辞めているのか」を見極めること
優先順位はどっちなの?(理想の仕事 VS 理想のワークライフバランス)
このような就活相談の実例があるのでご紹介します。
「憧れの広告業界で絶対に働きたい!」けれど、社会人になったら「ワークライフバランスを何よりも優先したい」と言う就活生の相談です。社会人からしてみれば、「自分勝手な理想」と思われても仕方がありません。この学生は第一志望の大手広告企業から内定をもらい、人事の方から「忙しい業界だけれど大丈夫?期待しているからね」と言われたひとことで不安になり、「別の広告企業をみつけようか」と考えているとのことでした。
「自分の想い通りのライフスタイルを実現したい!」という想いはよくわかりますが、その業界の仕事を理解できていたならば、「仕事を優先しなければならない可能性」を最初から想像できていたはずです。広告系の企業であれば、別の企業に就職しても同様です。広告業界はクライアントありきの仕事を全うしなければなりません。納期を守ることは大前提で数々の要望もあるでしょう。締め切りに追われるのですから「土日出勤もあるかもしれない…」くらいの覚悟も必要でしょう。ワークライフバランスを優先したいという人が、知らずにこの業界で仕事をすることになれば、もしかしたらストレスがたまる日々に直面するかもしれません。
就職活動ではまずは自己理解(自己分析)をしっかりと行うことが大事です。業界理解・企業研究も同時に行えば、本当に自分に合った業界や企業を早めに見つけられます。もしも、この学生のように「やりたい業界(仕事)」と「理想のライフスタイル」が矛盾しているならどちらを優先させるかを企業にエントリーする前に決められていたでしょう。
ブラック企業かどうか見極めポイント
では、ここからは、ブラック企業の判断基準についてです。あくまでも、私の判断基準ですので、参考にしていただければと思います。「ブラック見極めチェックリスト」というものをつくりました。これらから3つ以上当てはまる企業の場合は、慎重に考えるほうが良いと思います。(説明会に参加して自分の目で見て、聞いて確認するなどする)
業務の特性上、残業がどうしても発生する業界や企業はあります。ですから、「ブラック企業」は、単純に残業の多さで判断しないようにすることも大事です。たとえ残業があっても、そのぶんの残業代がきちんと支払われているならば、問題はないと言えるかもしれません。とにかく、すぐに「ブラック」と考えず、ある程度の譲歩しつつも、以下のような特徴が複数当てはまる場合は要確認です。
🔎 ブラック見極めチェックリスト
⚠️これらが3つ以上当てはまる場合は慎重に考えよう!
✅ 面接や説明会で具体的な労働時間・残業時間の説明を避ける
✅ 口コミで”長時間労働+残業代未払い”の声が多い
✅ パワハラやセクハラの話が複数見つかる
✅ 離職率が極端に高く(50%以上)、業界平均を大きく上回っている
✅ 福利厚生がほとんどなく、有給取得率が極端に低い
✅ 採用基準が極端に低く、誰でも採用している印象がある
✅ 入社後の研修がほぼなく、即現場投入される。
✅ 求人内容と実際の労働条件に大きなギャップがある
✅ 繁忙期以外でも常に人手不足で求人を出し続けている
✅ 面接で「うちは離職率を気にしないで」と強調される
すべてが完璧な会社はありませんが、「明らかにブラック…」と思う企業は避けたほうが無難です。
働き始めてから後悔しないように、事前の情報収集が大事です。
ネットの口コミを信じすぎるのは危険!
企業研究をしているとき、ネットの口コミをチェックする就活生が多いようです。確かに、実際に働いた人の声は参考になります。でもその口コミ、誰が書いていると思いますか? 多くの場合、口コミは「辞めた人」が書いています。
やりがいを持って働いている人や、仕事に満足している人は、ネットに投稿しません。
私もキャリアの仕事に就く前は、複数の企業で正社員として働いていました。企業人として働いていれば、辛いことや大変なことも多々ありました。上司に注意されたこともあります。でも、それも成長の過程と考えれば「貴重な経験」です。ネットに口コミを書くことことなど、思いついたことないです。
仕事に前向きに取り組んでいれば、口コミを書くことなど思いつきもしません。絶対的にそうとは言い切れませんが、口コミには『ポジティブな意見』は集まらず、『ネガティブな意見』が集まりやすいと理解しておくと良いでしょう。
口コミは参考程度がベスト
とはいっても、どうしてもネガティブな口コミが気になってしまうなら、説明会に行くことで解消させましょう。実際に自分で見て感じることで解消されます。気になっていることは解決させることが大事です。
社員の方に直接質問してみるのもいいかもしれません。「なにか質問ありますか?」と聞いてくれると思うので、そのときに率直に聞いてみてください。OB・OG訪問ができるのならば、そういう機会も利用してください。
離職率よりも大切なこと: 社会人に必要な「意識転換
学生のうちは「自分にとって楽な会社」「居心地の良い環境」を求めがちですが、社会人になったら考え方を少し柔軟にすることが必要かもしれません。
✅ 社会は「自分のため」だけでなく「お客様のため」に働く場所
大学時代は、レポート提出や試験のために自分の都合で動いていたかもしれません。でも、仕事はお客様やチームのために動くものです。「自分軸」から「他者軸(顧客軸)」への意識転換が求められます。これができないと、理不尽に感じることが多くなり、ストレスが溜まりやすくなります。すぐに離職したくなってしまうかも…。
✅ 理不尽さや納得できないこともあるかも
「なぜ自分だけがこんなに忙しいんだろう?」
「上司の指示がコロコロ変わってついていけない!」
社会人になるとこうした事態に直面することがあります。私も新人の頃、よくありました。必要なのは忍耐力。ある程度は鈍感に生き抜いていくのがコツ。臨機応変に柔軟に考えることが社会で成功するカギです。新人の頃は辛いかもしれませんが、誰でも3年経てば3年目の先輩になります。そのときのあなたはどんな存在になっていたいですか? 「いますぐに辞める!」と考えずに、いまの自分にできることを探し、成長を楽しみましょう。
✅お客様や周囲からの信頼は、忍耐の先にある
職場の人やお客様から信頼を得ることで、仕事が楽しくなってきます。「やりがい」が生まれたら、やりたいことも見えてくるかもしれません。頼られる人になるために、いまの自分を成長させ周囲に喜んでもらえる人になる工夫をしてみてください。いつの間にかあなたは周囲から頼られる社会人になっているでしょう。
✅生ぬるい環境に甘えず、自己成長を意識しよう!
「楽な仕事がいい。」
「できれば怒られたくない。」
そんな気持ちも、よくわかります。私は新卒で入社した企業は信託銀行でした。高学歴な同期や先輩上司に囲まれた職場は、私には「場違い」と感じましたが、厳しい状況こそ、成長できる土壌だという考え行きつきました。わからないことは周囲に聞き、自ら勉強して、自己成長するための努力を続けました。結果的に、厳しい環境に身を置いて良かったといまは思っています。挑戦すること、困難に立ち向かうことが、社会人としての自信につながることを経験から知っています。ですから、あなたも、たとえ失敗しても、それは成長への大きな一歩と考えてみてはどうでしょう。
デキる社会人 = お客様から信頼される人
成長する社会人 = 困難に立ち向かう人
まとめ
「離職率」など数字だけを見て企業を判断せずに、色々な角度から見ることの大切さをお伝えしました。今回のポイントを以下にまとめておきます。入社後に「この会社で良かった!」と思えるように、自分にとって何が大切かをしっかりと考え、見極めてください。
● 業界特性も考慮する!
● 口コミは参考程度にして、自分で情報を取りに行こう!
● ブラック企業かどうかを見極める目を持とう!
● 社会人になったら「自分軸」から「他者軸」へ意識を変えよう!
● 理不尽さに直面しても、忍耐があなたの信頼と成長につながる!
● すべてが思い通りの仕事などない。その中で、どう頑張るかが大事!
「なるほど!就活塾」はあなたの就活を応援しています。


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